ドイツと日本の違いはどこにあるか? 乗り物文化を体感するドイツ旅行(7)

ドイツと日本は同じ敗戦国で、資源が乏しく技術立国であることやその高品質なモノ作りから「似ている」と評されることもありますが、その根幹はまったく違います。そもそもあんなに体格から肌の色、顔の形に食べているものまで違うのですから、メンタリティが似るはずはありません。本当にたまたま、何かの綾でOUTPUTだけが似ただけの話で、そこに至るまでのアプローチは違うのです。

さて、交通です。

自動車を語る上で非常に重要なのはその自動車を走らせる道、道路。自動車は道路として作られた場所でしか走れません。ほぼすべての自動車は、自動車が走るための道路上でしか動かされません。道路の上をたくさんの自動車が走ることを称して(自動車)交通と言います。

道路は基本的には地面の上に作ります。地面は地形によって左右されますので、地形に応じた道路が出来上がるのが自然です。ここがまず重要なポイント。

ドイツは大陸に位置し、北部を除いて海はなく、ほとんどが丘陵地帯です。そのためこの丘陵に沿って自動車道路は作られています。無料の高速道路、アウトバーンは高速化をさせるためになるべく直線にするため丘と丘の間を橋でつなぐことがありますが、基本は大陸の地面の上です。

丘陵地帯なので基本的にカーブは緩やか、峠のようなアップダウンが連続するのではなく、なだらかに上がっていき、なだらかに降りていく高低。つまり、これはニュルブルクリンク北コースそのものなのです。

ニュル北コースがベンチマークになったのは、それがヨーロッパ大陸の典型的なレイアウトであり、一般道的なところから超高速域まで試せるのでテストコースとして最適だったからでしょう。さらに荷重が抜けたり、逆に荷重がどっかりかかって車両の剛性が必要となったりと、シャーシ、サスペンション、動力性能すべてが高いレベルで要求されるというのもいいところ。

だからニュルでセッティングしたクルマはサーキットスペシャルではなく、ヨーロッパの公道にピタリとあったセッティングになるわけです。

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