前回までのあらすじ流しのミニヨン・レーサー北川は元ルンペンに頼み、あるものを取り寄せた。深夜ミニ四駆を作る北川。
深夜、暗闇の中スタンドの明りだけでミニ四駆を作り続ける北川。そしてその様子を監視カメラで見守る男たちがいた。
幹部A「こんな時間に...一体北川は何をしているのだ。」
幹部B「ミニ四駆を作っているだけのことではないか、よっぽど好きなんだな。」
幹部C「いや、気になるのはあの半田付けだ。何か回路のようなものを取り付けているようだぞ。」
幹部B「ラジコンにしてラジ四駆にしようというのか。それとも自動制御装置なのか、いずれにしても良いことではないか、速いミニ四駆を開発・研究するのはこの川崎ファクトリーのミッションのひとつ。そのために20%ルールがあるのではないか、就業時間のうち20%を自分の研究に使っていいという。もっとも今日の北川は20%どころか、100%だがな。」
幹部A「まあそれはそうだが、気になるな...しかしもう時間も遅い。皇帝には報告さしあげて、あとは引き揚げるとしよう」
そうして幹部たちはPCモニターの電源を落とした。
・・・
次の日の夜。北川は再び深夜、自分のブースに行きスタンドの灯りをつけた。灯りに照らし出されたミニ四駆。北川は電池を入れ、スイッチを入れた。
ミニ四駆は通常、スイッチを入れると即座にモーターが回転、走行が可能となる。しかしこのミニ四駆は何も動くことがなかった。故障なのだろうか。
北川はそのミニ四駆を床におくと、スタンドを手に持ち、ミニ四駆に光を照らした。
するとミニ四駆はその光に反応し、明るい光にむかって走りはじめたのだった。
北川「...まあまあだな。あとは光をどうするか、だ。」
すると遠くから別の光が北川を照らした。
警備員「おい、お前、そこで何をしている! また貴様か。」
警備員は懐中電灯で北川を照らしながら、ツカツカと近づいてきた。
警備員「お前、何時だと思っているんだ。いい加減にしないと上長に報告するぞ。」
無闇に高圧的な警備員に対し、北川は不敵な笑みを浮かべた。
北川「...なあ、ちょっとお願いがあるんだが」
警備員「お願い? なんだ」
北川「いやね、あなたの持っているその懐中電灯、ちょっと借りたいんですよ。」
警備員「は? 何を言っている。これは備品だ、貸せるものではないし、一体何に使うというんだ。」
北川「そこをなんとかなりませんかね。今開発中のミニ四駆でどうしても必要なんですよ。これが出来ればきっと最速のミニ四駆ができるに違いないんでね。」
警備員「最速のミニ四駆か、それなら仕方ないか。少しだけだぞ」
警備員は持っていた懐中電灯を北川に手渡した。北川は短く礼をいうと、その懐中電灯を使い、ミニ四駆を照らし出した。するとミニ四駆は再び動きだし、懐中電灯の光を追った。
北川は懐中電灯を振り、警備員を照らし出した。
警備員「おい、何をする、眩しいじゃないか、うわっ!」
懐中電灯に照らされた警備員めがけてミニ四駆が高速で突進、強烈な勢いで警備員の顔面に直撃したのだった。
低い音をたてて倒れる警備員。
北川「...安心しろ、峰打ちだ。といってももう気絶しているか。」
北川が創りだしたミニ四駆は殺人ミニ四駆だったのだ。強烈な勢いで人に当たることで、殺傷能力をもっている。その制御に光が必要であった。
北川「懐中電灯が手に入ればこっちのものだ...」
警備員が身に着けていた無線機から音が漏れる。
無線「ザザッ・・・おい、定時連絡はどうした。何があったか報告しろ! 繰り返す...」
北川は懐中電灯の光で殺人ミニ四駆を制御しながら、工場の出口に向かっていった。
(つづく)
この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。
ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。
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