ミニ四駆で肝となるのはローラーセッティング。特にボールベアリングを利用したローラーの場合、その「グリス抜き」と呼ばれる、ローフリクション化が課題となります。
ミニ四駆の横Gを計算してみる ([の] のまのしわざ)350g荷重がかかった状態で、スルスルと回るのがいいローラーベアリングということになりますね。
ローラーベアリングには実に7G、かなりの荷重がかかっています。
そこでボールベアリングの脱脂やメンテナンスについてまとめてみました。
●ベアリングの脱脂(グリス抜き)
ベアリングは通常グリスが入っていて、これが抵抗となってシュルシュルと回りません。そこででてくるのが「脱脂」と呼ばれる、グリスを抜いてしまうテクニック。
やり方は簡単で、シンナー、灯油、オイルライター(Zippo)用オイル、アルコール系洗浄剤(タミヤクリーナー、ワコーズ BC-9)を小さな容器に入れて、ベアリングを漬けてシャカシャカと振るだけ。グリスが溶け出して、液体が汚濁すればグリスが抜けた証拠です。
ベアリングの脱脂、洗浄
620ベアリングの脱脂写真フィルムの容器などにzippoオイルを1/4ほど注ぎ、ベアリングを入れて蓋をし、10分ほどシェイクします。 zippoオイルがだんだんと白く濁ってきます。この濁りは、元々入っていたグリスが溶け出したもの。 新品ベアリングはこれでOK。 でも、中古ベアリングは中にゴミが入っている場合もありますので、以下のようにラバーリングを外して脱脂します。
ミニ四・ラジ四ラボラトリベアリングの脱脂はジッポオイルの前にRCクリーナスプレーに漬けると更に回転が上がります またクリーナの前にベアリングの上下のプレートを外す事でクリーナやジッポだけでは取れなかったカスまで取れます。 (プレートは外したままのほうが 良く回りますがホコリが入りやすくなるので気になる方は取り付けてもかまいません、ただし回転力は落ちます) (クリーナやジッポだけだとグリスが白い粉のようになって回転を妨げる事があります) このようにプレート外し→クリーナ→ジッポ→取りつけ(ホコリが気になるならプレート取りつけ)この方法でやると最長で100秒以上回るようになります
なおグリスの抜きやすさは灯油が一番だそうです。が、灯油を少量もらうのって、結構めんどかったり。また金属だけならいいのですが、溶剤によってはプラスティック・樹脂を侵す恐れもあるので、そういう場合はアルコール系洗浄剤が無難です。ただ時間がかかるので、数日から1週間ほどつけて、たまにシャカシャカと振ってあげる必要があります。
グリスが抜けると、シャーーーーっと軽く回転するようになります。
●ベアリングの脱脂(グリス抜き)は本当にいいの?
シャーと軽快に回るので凄く楽しいのですが、色々なデメリットも同時にでてきます。
・錆びる(回転しなくなる)
・内部のボールが磨耗、ガタが大きくなり、抵抗がかえって増える
これを防ぐため、ベアリングオイルを注油するなど、メンテナンスをする必要がでてきます。しかしサラサラな低粘度のオイルだと、いつ油膜切れを起こすか分かりません。油膜切れを起こしたら、磨耗の脅威にさらされることには違いないです。
また放置せず、走行後オイルに浸して保管した方が無難です。
●マメな人以外にはグリス抜きをオススメしない
結局のところ、こまめなメンテナンスができなければかえってベアリングを傷めることになるので、「(グリス抜きは)やめたほうがいい」と言われました。特に金属磨耗は見た目にはわからないし、無負荷で空転させるときはシャーと軽快に回るから気づかないけど、実際に壁にこすりつけながら回るミニ四駆では、見る見る遅くなっていく、とのこと。短いコースであればまだ違いは分からないけど、長いコースで数周もすると油膜が切れて顕著になるそうです。
ということでpros/cons(プロコン、メリットとデメリット)が分かった上で、いくつかの方法を提案してみます。
【脱脂する派】
ベアリングの脱脂(グリス抜き)をした場合のメンテナンス方法のまとめ。
・ベアリングオイルを利用して、油膜を形成する
・ベアリングは使用後、オイルにつけて保管する
・コーティング剤(マイクロロン)を使う
おすすめなのは「マイクロロン」処理です。ものすごく回転が軽くなります。
マイクロロンボールベアリングに直接塗布してください。マイクロロンを塗布する前にベアリング 内のオイルを脱脂しておくとより効果的です。マイクロロンを塗布した後、通常のベアリングオイルを塗布してください。(マイクロロンは金属処理剤であり、オイル添加剤ではありませ ん。マイクロロン自体にオイルは含まれませんので、ベアリングなどに使用する場合には必ずオイル(潤滑油)と併用してください。)メンテナンス時に繰り返し使用することでさらに効果を高めます。
マイクロロン処理(ベアリング編)・マイクロロンの処理方法
STEP1. 洗浄 ベアリングに付着している油や汚れを、クリーナースプレーで完全に洗浄脱脂する。
STEP2. 予熱 ドライヤーでベアリングを約1分加熱させる。
STEP3. 処理 マイクロロンに浸す。浸す時間は特に関係無く、またスプレーや注入などの方法でもよい。
STEP4. 乾燥 ドライヤーなどを使い完全に乾燥させる。
STEP3.と4.の工程を3回ほど繰り返しおこなうと、よりマイクロロンは定着する。
・走行前のマイクロロン使用方法
STEP1. マイクロロンをベアリングに注入させる。
STEP2. 少量のLRPベアリングオイルを注入させる。
AKD: 新車制作@マイクロロンコーティングマイクロロンはカー用品として一般に流通していますが、値段が半端じゃありませんので、私はスクワットの「マイクロ粒子入りミラクルオイル」を使用しています。 ペラ受けやカウンター受けの潤滑にも使えるので、何かと経済的です。
↓↓私がやったベアリング脱脂、およびマイクロロン処理
ライジングストーム製作 PHASE-10
のまのしわざ RC: PHASE-10 ベアリングのマイクロロン処理
マイクロロン:Microlon メタルトリートメント スプレー 220ml
<紹介したグッズ>
・マイクロロン・スプレータイプ(東急ハンズで買えます)
・スクワット「マイクロ粒子入りミラクルオイル」(えのもとサーキットで買えます)
・LRPベアリングオイル(ラジコン専門店にあるそうです)
【脱脂しない派】
ベアリングの脱脂(グリス抜き)をしない場合に、抵抗を少なくする方法です。
一番簡単なのは防錆潤滑剤WD-40で漬けてしまう方法。
”G”の掲示板又、ベアリングを脱脂されているとの事ですが、これはあまりお奨め出来ま
せん。ベアリングのグリスを抜くと、確かに空転させると軽くまわりますが、
走行中は重量が掛かる為にベアリングの負担が大きくなり寿命が短くな
り、すぐに磨耗してしまい、かえって駆動は重くなります。これで異音が出
る事もあります。
ベアリングを軽く回す為には、完全に脱脂せずに、少しクリーナーや、WD
-40等のオイルを拭きつけて走行させれば、中のグリスが柔らかくなり、
軽く回る様になります。
Mr.Gこと「ひろさか」さんはラジコンメカニックであり、チャンピオン広坂選手の父上ですから、間違いありません。
さらにグリスはそのままで、潤滑だけよくしてくれるという魔法のベアリングオイルがありました。それはATLAS RESPO EPO。
RESPO EPO ベアリングオイル ([の] のまのしわざ)
ATLAS infomation
RESPO EPO市場に出回っている多くのラジコン用潤滑油はベアリンググリスと反応を起こしフリクションが増えてしまう事があり、説明書には脱脂をしてから注油なんて書いてあります。でも耐久性を上げるグリスを抜いてしまったら・・・。それとも、走らせるたびにチェックして注油してを繰り返しますか?
RESPO E.P.O は脱脂をする必要がありません。ベアリング内にグリスが入ってるままで注油して構わないのです。RESPO E.P.Oはベアリンググリスと反応せずにベアリングに油膜を作ります。RESPO E.P.Oがフリクションを起こすベアリンググリスとベアリングの間に浸透しベアリンググリス自体を浮かせてしまいます。長期間RESPO E.P.Oを注油せずにオイル分が切れたとしても新品のベアリングに戻るだけなのです。
モノグサにはもってこいな上、デメリットがありません。めんどくさがりにはこれに限りますね。
<紹介したグッズ>
・WD-40(東急ハンズの自転車コーナーにありました)
・RESPO E.P.O.(ラジコン専門店にあるようです)
ということで、機会があればRESPO EPOを買い求めたいですね。
最近ラジコンがお留守ですが、M-05PROがとても欲しいです。
めがね
はじめまして。
tnomaさんのブログを参考にしてRCやってます。
買ったシャーシもM03、DB01,CR01。
どれも楽しいです。
また時間が許せば"ラジコン″カテゴリも更新してくださいね。
一方的ですいません・・・。
tnoma
>めがねさん
ご覧いただき、ありがとうございます。ラジコンもやる気はあるのですが、なかなか出来てません、すみません。
先日M-05PROを買いに行ったのですが売り切れてました。残念です。
夏休みがとれたら、また更新したいですね。今後ともよろしくお願いします。
カーボンオフセット
それにしても日立金属の高性能冷間工具鋼SLD-MAGICのトライボロジー特性は凄いですね。先月の、日刊工業新聞社の「プレス技術」で読みましたが、微量の油を塗ったセミドライ状態で、摩擦させると先端技術のDLCのような自己潤滑性(摩擦係数が下がる)が出るなんて。耐摩耗性もたかいのでコーティング費用分コストパフォーマンスがよく、耐荷重能も相当応力で2500MPaと高強度でベアリング・金型などのいろんな機械の転動・摩擦・摺動部品などの機械要素に使えそうだ。まさにノーベル賞級の発明だ。
ハイテン金型屋
先日、その高性能工具鋼の自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。そのメカニズムをひらたくいえば世界初の本格的ナノマシンであるボールベアリング状の分子性結晶が金属表面に自己組織化されて、フリクションが良くなるということらしい。
塑性加工屋
そのボールベアリング状の物質、グラファイト層間化合物っていうんでしょ?信州大の遠藤教授が絶賛してましたよ。
熱処理技術者
そういうことだったのか。ハイテン用のプレス金型に広がっていて、カジリはなぜ抑えられるか業界中の謎だった。このようなナノメカニズムが働いていたんですね。