F1富士シャトルバスの惨劇は人災である

F1 日本グランプリ in 富士スピードウェイ 2日目:地獄絵図 ([の] のまのしわざ)
F1 日本グランプリ in 富士スピードウェイ 3日目:地獄行きのシャトルバス ([の] のまのしわざ)

関係者には正しく状況を理解して欲しいので、ここで一旦シャトルバスの状況をまとめてみたいと思います。

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1) 富士スピードウェイへ流入するバスは全体で一時間あたり745台(ツアーバス191台、シャトルバス554台)。
2) 東ゲートを経由し、東シャトルバス乗り場への流入は一時間あたり341台(127台+214台)。
(上記交通規制PDFファイルより)
3) 東1、2シャトルバス乗り場へは1車線
4) 東1シャトルバス乗り場は(最低)1箇所交互通行
5) 山中湖路線で30台のバスをチャーター(バス運転手談)
6) 山中湖駐車場から会場までの所要時間約30分(チケット同梱案内)

上記は天候や道路陥没に関係のない、交通計画の一部です。

以下は仮定です。

A) シャトルバス1台あたり50名乗車できる
B) シャトルバスの全長は12m

A) と 1)より一時間あたり、富士スピードウェイには 745台 x 50名 = 37250名 輸送可能です。
15万人をすべてバスで輸送するとなると、順調にいって4時間以上必要な計算です。

149,000 = 37,250名 x 4時間

さて東1、2シャトルバス乗り場への流入は341台/h。B)より全長が12m、車間距離を仮に10mとすると、バスの速度は

341台/h x (12 m + 10m ) = 7.5km/h

時速たったの7.5km/hで済みます。なるほど、そのためにゲートの外、一般道ではまったく渋滞をしなかったわけです。

(ゲートに向かって次々とやってくるシャトルバス)

ところがゲートの中、富士スピードウェイの内側で大渋滞が発生していました。
渋滞が発生するとどうなるかというと、1時間あたり341台の割合で渋滞の列が伸びます。渋滞時の車間を3mとすると、

341台/h x (12m + 3m) = 5.1km/hで渋滞の列が伸びていきます。するとあっという間にゲートの外まで渋滞の列が伸びてしまうわけですね。

さきほどバスは7.5km/hで走行すればよいわけですが、乗降には時間がかかります。余裕をみると約10分は必要でしょう。となると停車している間、10分の間に 341/60x10 = 約56台のバスがやってきます。

東1バス乗り場には13方面のバス停があったので、平均すると4台以上がたまります。つまり1つのバス停あたり、4台は同時に止まれるような構造にする必要があります。これはクリアしていたようです。

さて、では問題はどこにあったのか。

それは交互通行の1車線ということにつきます。

交互通行ということは交互に数分とめる必要があります。これをでは3分としましょう。3分とまると、本来3分の間に外に出るはずのバスの数、341台/h x 3 / 60 = 約17台が並ぶことになります。17台がならぶとどうなるか。

17台 x (12m + 10m) = 374mの渋滞の列ができます。

(交互通行のため出口渋滞している様子の動画)

ところがこの交互通行の場所からバス停まで、374mもありません、せいぜい100~200mほどでしょうか。となるとどうなるかというと、後から来たバスが、バス停に寄れません。バス停に寄れないとどうなるか。本来乗せられる人が乗せられないばかりか、出るバスの後ろに、入るバスの渋滞ができてしまったのです。入るバスと出るバスがごっちゃになって列を作ることで、バスは中に入れず、外に出られず、にっちもさっちもいかない状態になってしまったのです。

(出口渋滞でバスの列がバスターミナルを一回りしてしてしまった様子の動画)

そもそもショートサーキットという、本来はサーキットを仮設バスターミナルにしたため、バス乗り場自体が一本道になっていたことが問題です。こうなるとかえってバスが多いことが災いします。

ショートサーキットの様子⇒富士スピードウェイ ショートコース走行 ([の] のまのしわざ)

この渋滞によって、本来4時間で15万人を輸送できたはずが、計画倒れに終わりました。その結果レース終了をまたずに2pm位から帰り始めた人から8:00pmの会場閉鎖までいたひとまで含めて、シャトルバスは10pmを超えて運行せざるを得なかった、つまり8時間くらいはかかったわけです。

予選日に道路が陥没したために大渋滞したといいますが、決勝日も変わらず大渋滞、しかも行きのシャトルバスから着かないという事態を招いたのは、このシャトルバス乗り場と道路の構造的欠陥にあるといえます。

ですから十分な車線を持つバス道路と、専用のバスターミナルが必要なのです。交互通行なんて言語道断です。

誤解してほしくないのはバスの数は十分足りてます。バスの数を増やすとかえって渋滞を増やしますので、絶対に止めて下さい。


【追記】

富士スピードウェイのF-1開催時神奈川県内配車計画を公開します - ちょっと言いたい・・・言わせて下さい - Yahoo!ブログ

悲惨な思い出しか残らなかった 今年のF-1

ずーと悩んでいましたが 内部の情報を少し公開します。

こちらでより詳細な数値を用いての検証を行っています。バス待ち時間についてですが、


現実的に考えると 4から5時間程度で全員を捌き切ったわけですから

実際には3時から10:30過ぎまで運行していたのでやはり7時間という計算があっているように思います。

【関連エントリー】
地獄のF1富士関連エントリー⇒[の] のまのしわざ: f1 アーカイブ