パイオニア新型サイバーナビに見る、ハードウェアビジネスの袋小路

パイオニア新型サイバーナビでパイオニアの方とディスカッションする時間があったのですが、その時間からしばらくの間ずっと引っかかっていたことがあります。

それはナビが高機能化すればするほど、存在意義を失ってしまうのではないかという疑問です。

3年ほど前に持ち運びができるHDDナビ XYZをソニーが出していました。スマートループのようなプルーブカーの機能やサービスこそありませんが、ハードウェアで達成可能なことは似たり寄ったりです。そしてこのカーナビ以降、結果的ですがソニーはカーナビ・カーオーディオ市場から撤退してしまいました。

カーナビが機能を増やせば増やすほど高性能化にともない、ノートPCと同等のスペックになってきます。しかし提供するアプリケーションはナビゲーションのみ。もちろんミュージックサーバー機能など音楽プレイヤー、DVDプレイヤー機能もありますけど、プロプライエタリなハードにナビゲーションアプリが搭載された状態に近い印象は拭えません。

ソニーのHDDナビ XYZ ([の] のまのしわざ)

今回のナビですけど、ノートPCにNavin'Youとどうちがうの?という気もします。いちいちプロプライエタリなハードとソフトを20万円払って買うのも勿体無い話です。まあそれがハードメーカーのビジネスモデルなのかもしれませんが。

ワープロ化しているといったらいいのでしょうか、ワープロがPCの台頭と一太郎やワードに代表されるワープロソフトに置き換えられたように、カーナビ市場そのものが消える可能性を予感します。車室内は特異な空間なので、その場所にフィットするようなハードウェアは必要ですが、OSやソフトまではプロプライエタリな必要はありません。ノートPCが小型化するか、携帯電話が大型化するか。はたまたiPodにカーナビアプリが追加されるか。そういったもので置き換え可能な領域に踏み込んでいったような気がします。

さらに記憶媒体ですが、HDDからシリコン(メモリ)への移行が今後急速になる予感があります。HDDの大容量を生かして情報を入れるのもいいのですが、入れた時点から古くなってしまいます。最小限の情報をメモリに保存、通信機能で最新の情報を取得して補完する方が結果的にサービスとしては良い、なんてことになったらもう第四世代です。というか、そもそもプルーブカーが増えれば道の情報なんて、プルーブカーの足跡をたどれば全部得られるはずですね。有料道路など属性が必要なもの以外の地図データは不要になる時代が来るはずです。バックカメラだけではなく、フロントカメラがついて撮影したデータをアップロードすれば交差点拡大3D表示なんていらず、写真で確認できますし、なんかそういう時代が来るといいなあ。

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