Final Cut ProでΖガンダム

ガンダム部員からのたれこみ情報です。

アップル - Pro/Film & Video - 映画監督 富野由悠季

絵コンテ作業と編集作業を一本化するメリット


──『Zガンダム』劇場版三部作の編集にあたってFinal Cut Proを導入されたとうかがっていますが、これはどのような理由からでしょうか?

富野由悠季総監督(以下、富野):そもそもFinal Cut Proのようなツールがなければ、今回の仕事は断っていました。

そうなんだーとしかいいようがないんですが、そうなんですね。

──単純にオール新作カットとせず、敢えて旧作のカットを使用したのは、どういった理由からですか?

富野:簡単な話、「Zガンダムだったから」なんです。もちろんすべて新作にした方が楽なんですよ。しかし、オール新作のリメイク作品がオリジナルに勝った映画なんてないでしょう? それにどんなに古い画でも、それがもともとの『Zガンダム』って作品のフィーリングなんだから、それは使わなければならない。CGをふんだんに使ったオール新作カットで、派手できれいな『Zガンダム』ができたらそれでいいかという問題については、そうではないだろうと考えたのです。

旧作カットと新作カットが混じってどう見えるかということは考え抜きましたので、漫然とはやっていません。リズム感が大事になってきます。「えっ、また古くなってきた、あ、あ、あ、(新作カットが)来た!」みたいなリズム感を乗り越える映像のテンポはFinal Cut Proだからできたのです。「新作カットだな」と思わせるのは数秒で、観客の意識がまたすぐ物語展開に入っていくように仕向けないといけない。視覚におけるリズム感やスピード感、このテンポで見ていたいという観客の欲求を満たさないとダメ。これは映像を漫然と見ている演出家や編集マンには絶対にできないことです。

単純にぶったぎって繋げているだけかと思っていたのですが、実はそうではないようですね。コマを抜いたりするとは、さすがコンマ秒の世界に住んでいるプロの仕業です。これは板野一郎さんにも同じことがいえますね、凄い。