ロック岩崎「最強の戦闘機パイロット」

[02/11/2002]

最強の戦闘機パイロット

今日は一冊の書籍を紹介したい。タイトルは「最強の戦闘機パイロット」、そして表紙には航空自衛隊F15が堂々と写っている。

またまたぁ、実戦経験のない航空自衛隊で「最強」って語るなんてないでしょう・・・

そんな軽い気持ちで開いた本。著者はロック岩崎こと、岩崎 貴弘 氏。彼は航空自衛隊でジェットファイター乗りとしてF86セイバー、F104スターファイター、F15イーグルと乗り継ぎ、現在は日本人初のアクロバット飛行士として活躍中。

出版社/著者からの内容紹介
日本のトップガンの実力を証明!
秘技「横転コルク抜き」「ナイフエッジ」はいかにして誕生したか。
ロック岩崎の究極の操縦法。

私は戦闘機に乗り始めたときから、ひたすら強くなりたいと思っていた。
陸上選手が、人より速く走ったり、高く跳んだりするのを目指すのが当たり前のように、誰よりも強い戦闘機乗りになりたかった。……本文より

内容(「BOOK」データベースより)
日本のトップガンの実力を証明!秘技「横転コルク抜き」「ナイフエッジ」はいかにして誕生したか。ロック岩崎の究極の操縦法。

また、日本のトップガンとかいって、大げさな・・・

と読み進むと恐るべき真実が。彼、ロック岩崎はF104スターファイターに乗っていたときに、

 

米軍のF15イーグルを撃墜している!

 

(ただし模擬戦)

模擬戦とはいえ、遥かに性能が上回るイーグルを、三菱鉛筆ごとき(F104は形と三菱によるライセンス生産のためにこう呼ばれた)でロックオンするとは。いわば

 

86でGT-Rをぶち抜く!

 

なみの快挙である。これが元で「伝説のパイロット」と呼ばれるようになった

 

ロック岩崎

 

なぜ「ロック」なのか? 映画トップガンでもお馴染みのように、パイロットはタックネームで呼ばれるという。彼の場合は岩崎だったので「岩」からロック・・・

 

そんまんま!

 

日本語でいえば「馬から落馬」「岩岩崎」ってなもんである。

話を戻そう。彼が旧式のF104で、(当時)最新鋭のF15に勝つための秘策。空中戦は2対2で行われる。当然エンジン出力があり、運動能力が高い、ようはすべての性能がF104よりも格段上のF15の方が絶対的に有利であるが、ひとつだけF104が優れていた。それは小ささ。ロケットに申し訳程度につけた羽は、大きさが小さく発見されづらい。もちろんレーダーには映っているのだが、最後は有視界でのドッグファイトである。みづらい方が有利である。

これを彼は巧みに利用した。相手が自分を見失っているのを利用し、僚機が囮になってひきつけ、後ろからそーっと近づいていってロックオン。

 

姑息すぎる(^^)!

 

とはいえ、勝ちは勝ち。これから伝説がはじまる。

そして時代は変わり、ロック岩崎がF15に乗っているときに、米軍はまたまた最新鋭F16ファイティング・ファルコンを持ってきた。なんだかもう第二次世界大戦のような大人と子供の喧嘩状態である。F16はドッグファイトで勝つことを目的とした戦闘機で、軽量コンパクトで機動性、旋回性に優れている。以前のF104対F15と同様、F16の方が小さいが、加速性能は同等、そして機動性はF16の方が上である。総合するとF16の方が有利といえる。そして米軍のF16がロック岩崎が使ったように小ささを武器にして来る事は間違いない。

そして模擬戦がはじまった。F16はやはり小ささを武器にして背後から気づかれないようにと近づいてくる。ロック岩崎はそれに気づきながら、

 

気づかないフリ(^^;

 

普通は回避行動をとるのに、そのまま直進。ひきつけておいて、さらにF16の背後から近づいた僚機にロックオンさせてまず一機撃墜。撃墜された米軍の僚機が猛りくるってロックの僚機に襲い掛かろうとした後ろからロック岩崎がロックオン。2機撃墜の完全勝利。

 

なんて姑息なんだロック岩崎(^^;

 

そんな彼もひとつ弱点がある。それはエアシック(飛行機酔い)。とにかく気持ちが悪くなる。自分が運転しているときは良いが、人に運転させるとだめ。それが例え上手い教官でも同じで、それが同期や新米のようなへなちょこ運転ではすぐに気持ち悪くなる。

国籍不明機にスクランブルして飛行機酔い

弱すぎる(^^;

 

そんなことにならないように、彼は最初のジェットファイターに当時最新鋭のF4ファントムと朝鮮戦争で活躍したがすでに時代遅れのF86セイバーのうちをF86を選んだ。理由は簡単である。F86は単座(一人乗り)、F4は複座(二人乗り)である。しかもF4の場合は最初のうち、かならずレーダー要員となり運転は先輩パイロットとなる。そんなのが嫌でたまらなかった彼は、F86に固執するのだが

 

「1974年 2月 新機種F—4ファントム導入に伴う教官からの推薦を辞退、あくまでも単座(1人乗り)戦闘機にこだわりF-86Fセーバー部隊への配置を希望し、第3航空団第8飛行隊(愛知県小牧基地)に配属。」

(AIRock 公式webより)

 

 

この見栄っぱり(^^)!

 

 

公式webでもこう書き続けているのが立派な証拠。

とはいえ、彼はF15で初めて(今も一人だけ?)ナイフエッジという飛行機を90度ロールさせて縦に飛ばすことに成功した立派なジェットファイターである。

飛行機は通常飛んでいると地上からは横、または下部しか見ることが出来ない。しかしショーなどでペイントを施す面は通常は翼の上面である。つまり、観客からはメインのペイントがよく見えない!それをよく見せるためには飛行機をロールさせるしかない。いや、90度立ててしまうのが一番よくみえる。そこでナイフエッジという技を使えばいいのだが、これは基本的には軽量なプロペラ機の技であり、F15のように機体が重いジェット機には向かない。しかもよしんば出来たとしてもジェットエンジンの構造上、90度立てにした場合オイルの焼きつきが予想されて5秒しかもたない。オイルが焼きついたらどうなるか。それはエンジン停止してしまう。ジェットエンジンが停止するとジェット機は推力を失い、基本的に墜落だ。5秒しか保てないナイフエッジ。それは滑走路の端から端までを飛ぶ時間。エアショーは低空を飛行する。もしもエンジン停止すれば立て直す暇はなく間違いなく墜落炎上だ。

彼はそんな危険性をわかりつつ、ペイントを見せたいがためにこのナイフエッジを観客に披露するのだ。なんという

 

命知らずの見栄っ張り野郎!

 

ファントム無頼を地でいった男の一冊。興味があればどうぞ

最強の戦闘機パイロット
岩崎 貴弘

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