周囲の評判がよいスターウォーズ最新作、「フォースの覚醒」。ネタバレするとせっかく前情報ゼロで見に行く感動が薄らぐので、早速見てきました。気の早いひとはこの週末に絶対に見ているはずなので、そろそろいいでしょうか?
もし見てなくて、ネタバレ怖いひとはすぐさまブラウザを閉じ、映画館へと急いで下さい。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ネタバレありの感想いきますよ。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
前情報なし
どれくらい前情報なしだったかというと、ほぼゼロ。敵がダース・ベーダーみたいな仮面を被って、レンと名乗っていることも知らなかったほど。だから公開当日、「レンになりました!」とコスプレで仮面被った写真みても、なんのことか分かりませんでした。
そんなわけで映画は、いまだによくわかってない部分も多いです(誰が誰の子で、とか)。
ぶっちゃけた感想
★★★☆☆
5段階評価でいえば3、「普通」といったところ。映画としては及第点ですが、スターウォーズの新作としては不満です。映画で不満に思うことは少なく、どうして不満なのか色々考えてみました。
ワイプ成分が足りない
スターウォーズといえばワイプ、ワイプといえばスターウォーズ。このワイプが全然足りない。
コッテリからアッサリへ
ワイプ不足もそうですが、アクションシーンがモノ足りないんですよ。Xウィングにしてもそう、チャンバラにしてもそう。スターウォーズといえばアクションこってり、えー、そこまで長くなくてもいいじゃんポットレース、えっ、あれでもカットして短くなってるの、ながっ! みたいなコッテリ感、英語でいえば too muchなのが持ち味だと思っていたのですが、その too muchなところはなく、洗練されているというか、アッサリ味に。
時の流れは無情だ
昔のオリジナルキャストが登場していることで、懐古趣味を満足させているようですが、悲喜こもごも。ハン・ソロはおじいちゃんだし、レイア姫はおばあちゃんになっちゃった!
そりゃあ40年近くたつわけですからしょうがないんですけど、着てる服同じじゃん!
若づくりというか、余計に年が目立ってしまったなあと。そろそろ現役引退しようと、役者的にというか、役柄的に。まだレイア姫が将軍で最前線ですか~、ハン・ソロは宇宙をさまよっているんですか~、とひくわけです。
強さのインフレ
今回のミッションはデススターの数倍はあるという、なんちゃら(もう忘れた)というでっかい星ベースの巨大兵器。理屈は簡単で、デススターは惑星1個を破壊できるけど、このなんちゃらは一度に数個の惑星を同時に破壊できるもの。宇宙戦艦ヤマトでいえば、波動砲に対する拡散波動砲... 発想が古すぎる、安直すぎ。ハン・ソロも「so big」としか言わない。
太陽をエネルギー源として動くという発想はSF的でいいけど、いいんだけど、なんかこういうのってそろそろ飽きませんかね? はいはい、おっきいことはいいことですね、アメ車的な発想ですよね、V8! V8!
この破壊兵器に対してのミッションがまんまエピソード4~6。Xウィングを中心に爆撃して壊そう、でもシールドあるからシールドは内部から解除する、というもの。進歩がない。インフレした分の工夫がそこにないんですよね。
ボケが足りない
今回のキャラでどうしても気になるのがR2-D2のようなBD-8。デザインかわいくていいんですが、R2-D2のロジカルでクレバーで、ちょっと皮肉っぽいところ、つまり人間味がないんです。この人間味はC3-POがいてこそ際立ってきたものなので、今回C3-POに代わる役どころがなかったのは痛い。つまりボケ不在です。
ボケがいないと、ツッコミができません。
エピソード1-3はジャージャーがその役どころを担っていたわけですが、このジャージャーが不評で相当批判されたとのこと。この批判に耐えかねて、ルーカスはもうスターウォーズは撮らないとなったわけですから、今回出ないのも仕方ないのですが、いなくなってみて分かる重要な役どころ。
シリアスなドラマはシリアスになればなるほど、その緊張感に耐えかねて笑いがこぼれてしまう、というのはメタルギア・ソリッドシリーズでも指摘されています。シリアスだからこそギャグ要素を入れる、だからエロ本だったり、グラビアポスターというアイテムが世界のなかに盛り込まれていると小島監督がいっていました。
今回のSW7はシリアスなんだけど、シリアスしかないんですね。あの小気味よかったハン・ソロもすっかり父親面となり、余裕が感じられません。スパイスがほしい、清涼感がほしい、そんなときにC3-POなり、ジャージャーなんです。
ハン・ソロ大丈夫か?
そのハン・ソロ、エピソード4-6ではアルフォートになって、ジャバ・ザ・ハットの壁飾りになったりしても不死身、生き還ったのに、今回はあっさりです。あっさりすぎです。え、絶対死ぬよね、ああ、ほんとに死んじゃった、しかもこれ、起死回生無理だよ、惑星ごと破壊されちゃったから。という状況で、これであとでいき帰らせたら、ヤマトの沖田艦長もビックリの脳死判定です。
その割にレジスタンスは勝って大喜びしているし、レイアも少し凹むも、ルークみつかったよと、アッサリストーリーは進行していくわけです。あっさりしすぎ。
ラストシーンで分かった
そしてラストシーンでようやくルークがでてくるわけです。こちらももちろんばっちり加齢、風貌はまさしくエピソード4のベン、オビワン・ケノービのよう。ひげもじゃもじゃや~
で気付いたのです。ああ、これって2時間半の予告編だったのかと。本編これからじゃない。しまった、そういえばタイトルは~フォースの覚醒~でした、まだ目覚めてなかったのでした。
私はルーカスファンだった
スターウォーズが思い出深いのは、それが私にとって初めてのロードショー鑑賞だったから。そしてその世界観、映像、デザイン、すべての虜となったわけですが、いわゆる熱狂的なスターウォーズ・ファンとは違ったようです。
⇒ 親子の物語。スターウォーズ ep4~6を久々に一気見した感想 - のまのしわざ
⇒ 母子の物語。スターウォーズ ep1~3を久々に一気見した感想 - のまのしわざ
今回みて思ったのは、私はスターウォーズが好きなのではなく、ルーカスの作る映画が好きだということ。それに気付いたのはルーカス自身が「自分は実験映画の監督」ということを自称し、「スターウォーズ」の実験的表現、新しい何かを訴えかけたことに興味を惹かれるということでした。つまりイノベーションです。
スターウォーズ・シリーズでいえば、イノベーションはep4~6ではその世界観や当時最先端の特撮技術を盛り込んだことに、ep1~3ではCG技術を盛り込み、新しい映像美を導入することでさらにそのクオリティを高めたところにあり、驚きを禁じ得ませんでした。
ところが今回のSW7はどうでしょう。映像の、シーンのイノベーションはあったのでしょうか。
どれもこれもSWシリーズのコピーであって、IMAXや3D映像といった新しさはあるでしょうけど、それが新しいイノベーションを起こしたかというと疑問です。ライトセーバーが横にちょろっと火が出た程度?
だから今回のルーカスが作ってないスターウォーズにはどうしても辛口な感想になるのも仕方ないな、と自分ながらに納得してしまいました。
そしてルーカスがこのフィルムをみたとき、どう感じるか。感想をきいてみたいです。