夏休みの工作にリニアモーターカー改め、磁気浮上車を作る

夏休みの親子の共同作業といえば工作。毎年モーターを使った何かを作るわけですが、今年は子供がこう言いだしました。

「リニアモーターカーを作りたい」

調べてみるとリニアモーターカー、かなり構造的に複雑で小学生がちょこっと作るレベルではないことがわかってきました。

リニアモーターの仕組み

まず一般的にリニアモーターカーの仕組みですが、

・磁気浮上
・リニアモーター駆動

この2つの条件が必要です。このうち磁気浮上を省略し、リニアモーター駆動だけして、車輪で設置させる大江戸線方式もありますけど、トキメキが少ないようで、子供には受けません。

それとリニアモーターはレール側か、車両側のどちらかにSとNを切り替える制御装置が必要。通常のモーターはローターが回転、ブラシで機械的に切り替えることができますけど、リニアモーターではブラシがないのでこういうギミックを別の制御装置で行う必要があるのです。

ということを子供と事前にディスカッション。そして材料を揃えに東急ハンズへ。

磁気浮上車に方針変更

色々と子供と話していると、どうやら「浮上」しているのが大事らしいことがわかってきました。そうであれば単純に磁石のN極をレール上にしきつめ、車両側にN極をつければ浮き上がります。

さて問題は2つ。

1)安定して浮上する構造
2)推進する仕組み

これをどうやって実現したらいいか?

(1)安定浮上させるには

ネットで色々調べてみると、やはり同じような疑問を持っている人がいます。磁気浮上させても、どうしても磁力によって車両がひっくりかえってS極がレールにがちゃんとくっついてしまうから対策が必要です。

レール上に磁石をV字型につけて、そのVの字の中に車両をおけば安定するのではないか、と最初考えました。ところが部品となるL字レールをみて磁石をしきつめてもどうも安定浮上するイメージがわきません。

V字を逆V字(^)型にして、モノレールにまたがる形にして、重りを両側につければどうだろうと、JNRの初期のリニアモーターカーのような構造を子供に提案。それはいいじゃないと、まずはそれで考えたのだけれども、それはそれで作るの大変そう。そもそもレールを高架にする必要がありますし、車両側の重り調整も大変。

レールを2本に、クワッドコプター方式

V字型にすると結局のところ2本分の磁石を敷き詰めることになります。そうであれば、これを別々のレール、つまり2本にして、車両側には4つ(以上)の磁石をつければ安定するのではないか? つまりクワッドコプターのように4つの磁力・浮力で車体を浮かせようという考えです。4つの磁石がそれぞれフレームで連結されるので、バランスをとりやすくひっくり返りにくそう。

(2)推進する仕組み

さて安定浮上した次の課題は(2)推進する仕組みです。ネットで調べると風力を使う方法などありましたが、モーターと電池を積める見込みがなかったので、ここはシンプルにレールを傾けて重力で滑り落ちる方式、重力推進方式へ。いやただ落ちてるだけですけどね。

この設計を東急ハンズの磁石売り場で子供と繰り広げて、部品を購入。本人はかなり「頭使ったね!」と満足げ。

レール製作

まずは2本のレールを製作。といってもL字アングル材を2つ組み合わせてコの字を作り、底に磁石を敷き詰めるだけ。

このレールを2本作ったら、トレッドを正確に合わせるために台となるボードに固定します。

ここまでの作業、すべて両面テープのみで行ってます。

車両製作

つぎに車両を製作。まずはトレッドに合わせてフレームという名の筏を木で作り、四隅に磁石を貼り付けます(最終的にはピッチングを抑えるために片側3個、合計6個のヘキサにしてます)。

この筏の上にミニ四駆ボディを固定して車両完成。

ところがこのボディ、浮力が強すぎて弾かれる結果に。そのためボディの中に不要の乾電池をバラストとして数本入れて、浮上クリアランスと前後バランスを調整。

スムースにレールの上を進むようになって完成です。

よく考えて、作りました。

コツは磁石を敷き詰めること

レールの磁石、最初数ミリ間隔をあけていたのですが、浮力がこの隙間で変動、車両がピッチングするわかり、隙間をなくして敷き詰めることに。すると浮力が安定してスムースとなりました。

磁石の分量=レールの長さ=コスト に跳ね返ってくるので、なかなか高価な工作となりましたけど、致し方ないですね。

そう考えると車輪で走行する電車や自動車って、なんて効率がいいんでしょう。

リニアモーターカーのよいところは、浮力と推進力を1つのリニアモーターで実現できること。とはいえ実装上、浮力用リニアモーターと推進用リニアモーターを分けるようです。

それには交流制御が必要なので、マイコン製作やプログラミングができるようになったらそれにチャレンジしたいですね。