ついに長編映画です。最初TNGパトレイバーが、しかも実写で撮影されること、そしてキャストがパート1と似ているんだけど違う名前、ということで一部古参ファンからは拒否反応も出たTNG。でもこの映画をみれば氷解するので、未見の古参の方にもみてぜひ頂きたいところ。
http://patlabor-nextgeneration.com/
あらすじ
簡単にいうと、映画「パトレイバー2」のテロリスト、柘植のシンパが再決起するというもの。以上。身も蓋もない、、、しかし、それだけにパトレイバー2を見て震えた人には見て欲しいのです。
実写で得られたもの
パトレイバー2の続編といってもいいこの映画ですが、表現手法はアニメーションから実写へと大きく変化しています。前々から押井守監督のとる実写映画を高く評価していただけに、今回のTNGパトレイバー映画版がどうなるのかとても期待していました。
結論から先に言うと、表現手法によって向き不向きがあるという当たり前の事実を改めて感じることになりました。
どういうことかというと、押井守的な長回しの、情緒的な絵柄ってあるじゃないですか。極端な例をあげればうる星やつら「ビューティフルドリーマー」冒頭部のメガネ(千葉繁)のセリフ長回しとか。ああいうのももちろん実写で入ってくるのですけど、アニメほどのインパクトがないんです。これならアニメの方がいいかなあと。
逆にアクションシーン、こりゃあもうカッコイイ。これまでのエピソードでも太田莉菜演じるカーシャがカッコイイのですけど、今回はさらに良くなっているんです。
惚れてまうやろ、カーシャ。これは実写でなければあの迫力はでにくいでしょうね。突入シーンは必見です。
分かりやすいようで分かりにくい?
押井守監督いわく「シンプルに作りました」というだけあり、起承転結がはっきりとしており、映画のカタルシスもきちんとありと、商業映画としてキッチリ作ってあります。それだけにひねくれ者のファンとしては逆にアレ、と肩透かしをくらった気分。なんか綺麗なジャイアンみたいな、洗練された普通の日本映画でもあるんです。
といいつつも、随所にちりばめられるパトレイバーシリーズへのオマージュ。
「私にふれるな」やら、13号埋立地やら、戦闘ヘリによる特車2課襲撃やらと、お約束の数々。初めてみる人には分からないかもしれないけど、知っている人はクスリとさせられます。
ストーリー的にはシンプルなのですが、難解な部分、謎は残ります。ヘリパイロットの素性であったり、南雲さん、そして行方の知れない後藤隊長と。ミッシングピースはミッシングのまま。
2回3回見て下さい、とのメッセージどおり、何度かみないと理解が深まらないようになっているようなので、これは見かえさなければ。
無能の3代目の役割
TNGでは無能の3代目が主人公ですが、彼らの名前が初代に似ているけど違うという、いわば劣化コピーだったのも、「ファースト」パトレイバー世代としては違和感を感じたわけですが、実はこれは商業映画として組み立てるために必要だったことが分かります。
というのも、もし2002年を舞台にしたパト2、そして今回の2015年を舞台にしたTNGパトレイバーが同じ初代メンバーが対応していたとしたら、これほどつまらない映画もなかったろうということ。なにせ同じですからねやっていること。しかも年はとっている、キャスティングに批判はくるといいことなし。実写版ヤマトみたいなことになっていたわけです。
パート2ものはそこが難しく、直後の話、後日談ということであれば同じ主人公たちでつなげられるでしょうが、13年後ともなれば、状況も変化するし同じメンバーではツライことは目に見えてます。だって野明だって、きっと結婚して子供生まれて、で託児所に預けながら勤務続けて、って、、、現実がつらすぎて、子育て物語になってしまいます。
だから若返りを図って無能の3代目とし、そのキャラが最初の主人公とは「違うんだよ」ということをこれまでのエピソードで指し示したわけです。だからすぐに映画版ではなく、長い1クール分のドラマが必要だったのでしょう。
もちろん水路もあるよ
パトレイバーの見どころのひとつは、水路。水際からみた東京の風景です。今回はそれを念入りに、実写でやってくれましたよ。もちろん場所は日本橋川、首都高ジャンクションから日本橋までバッチリと!
これは水路ファンとしても必見です。
まとめると
まずはみろ、話はそれからだ、です。
食わず嫌いの方も、パトレイバーを知らない方も、ぜひどうぞ。