予想以上にNDロードスターがS2000な件

私、マツダ・ロードスターは余り興味がありませんでした。というのもエンジンがアンダーパワーで、「走るのは楽しいけど、速くないんじゃなあ」という期待外れな部分がどうしてもつきまとうからです。さらにボディも柔らかい、というのであれば限界走行のポテンシャルも低くならざるを得ず、いくら「ハンドリングがよい」とされてもどうしても限界を感じます。

ところがこの記事をみて考えが変わりました。

⇒ マツダ 新型ロードスターND型 全貌解明 先行予約までに知っておきたいこれだけのこと | Auto Prove- 自動車情報サイト「オートプルーブ」 - Part 2

特にフレームの部分、ほとんどS2000と同じではありませんか!

ハイXボーンフレームより強固そうなフレーム

(画像:autoprove.net)

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⇒ S2000 1999.04

S2000のハイXボーンフレーム構造はシンプルな井桁をベースに、縦の中央フレーム2本をフロア下に落としこむ代わりに3又構造で左右サイドシルと中央のセンタートンネルに分岐、リアセクションでまた結合してリアメンバーまで伸びるという構成。

これに対し、NDロードスターはフロア下の井桁がハの字になっているものの、リアセクションで再び逆ハの字となってトランク部分で平行な井桁に戻っているもの。ハの字がトラス構造になっているのでこれは効きそうです。

さらに効きそうなのがフロアのフレームとセンタートンネルの左右をつなぐブレースです。ここはネジレにもっとも効く部分で、これまでの「軟い」ボディとは決別したことがこの設計が伺えます。ポテンシャルはS2000以上!

リアダンパーの長さ

サスペンション、フロントは同じくインホイール式のダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンク式。サブフレームは同じくリジッド(ダイレクト)マウント。

さてここで一つ気になる点が。それはリアダンパーの長さ。これもS2000と同じく、アッパーマウントをフロアにつけるために、フロントと比べてリアサスペンションが短いのです・・・

そこ、大事なところだから!

S2000はこのダンパー長の短さを分離式加圧ダンパー、別タンクで解決したのですが、NDロードスターにはそれがありません。ちょっとここは気になります。

RX-7(FD3S)ではここは考えられていて(※追記 NCロードスターもRX-7同様の形状)、アッパーマウントはフロアではなく、凸状に飛び出た部分にアッパーマウントを固定、下の部分をフロアに固定するようになっており、さらにアッパーマウントはストラットタワーバーで連結されていました。せっかくならそのようにすればよかったのですけど、幌の収納の関係でこうなったのでしょうか。惜しい...

というのもここが短いと、みんなやりたがるシャコタン、車高を落とした時にバンプストロークが短くなって底付き、つき上げしてしまうから。ではシャコタンにあわせてロッド長を短くすればいいと思いますけど、今度はリバウンドストロークが規制されてしまい、いずれにしてもダンパー長は長ければ長いほど余裕があっていいのです。

フレームにマウントすることでの剛性アップを優先させたのか、生産効率を考えてでしょうね。とりあえずオーリンズを入れれば解決するということで。

車両重量とパワーの関係

エンジンのレイアウトはやはり同じ、フロントアクスル(車軸)よりも後ろにエンジンをマウントし、前後重量バランスは50:50のビハインドアクスルフロントミッドシップ式。

車両重量は1000kgとS2000よりも250kgほど軽いのが武器。エンジンは1500ccの131馬力、トルク150Nmと相変わらず非力なのは伝統ですが、これほど強固なフレームと1000kgという車両重量を考えると、ハンドリングの軽快さは想像にかたくないです。

S2000の問題はその車両重量、ブレーキング時にどうしてもフロントがロック気味になってしまうため制動力が1000kgクラスの軽量FFに負けてしまいます。1000kgのNDロードスターなら50:50の重量バランスを活かしてFF以上のブレーキングができそう。

パワーというか、特にトルクはもう一回り大きいのが欲しいところ。ターボをつけて200Nm以上、できれば250Nmクラスになれば並みいる強豪をやっつけられるほどのポテンシャルを得られることでしょうが、まあそれはRX-7っぽいですね。あくまでもオープンスポーツカーの本分は忘れない、ということでしょうか。

タイヤは195/50R16と太すぎず、細すぎず。ホイールサイズも適度で、好きなひとは17インチをはけばいいし、うまくタイヤのしなりを使えそう。

ある意味、S2000の後継的な位置づけでもありそうなNDロードスター、考えてみればS2000の出自がロードスターやRX-7を参考(さらには特許使用との噂)にしているだけあって、異母兄弟みたいなもの。1999年にあれだけのフレームで出してきたS2000の先進性に改めて感心するわけで、一方でロードスターのように連綿と紡いできた連続性も素晴らしいし、まあどちらも良いですね。

86/BRZの時はS2000があれば特にどうということはない、と思いましたけど、NDロードスターのこのフレームを見ると、これは素敵。あとはデザインが自分好みで、モアパワーであれば、ひとつの候補になりえます。

いやね、結局デザインが好みではないんで、、、丸目だったらまだよかったんですけど、NB型っぽい、深海魚というか、ナマズっぽい顔は苦手です。


追記

詳細の解説が出たのでそちらもぜひ参照下さい。

⇒ 池田直渡「週刊モータージャーナル」:写真で見る新型ロードスターのメカニズム (1/3) - Business Media 誠