運転を上手に、練習に最適なMT車とパーツ、用品

世の中すっかり「運転を上達する」というファクターがすっぽり抜け落ちているらしく、そういった情報も流れていません。免許があればOK、ATだから大丈夫、という軽い気持ちでハンドルを握っているようです。しかもカーシェアやレンタカーでたまに運転するのでは永遠に上手くなれませんが、本人は気付いてないのもまた問題。

そういう人はおいといて、一方でスキーと同じく、練習して上手くなりたいという人もまだ少しはいるので、そういう人に向けてオススメの練習車選びをご紹介。

ボディサイズは5ナンバー、4m前後

まずサイズ。でかいと運転しにくいのは当然なので、まずは横幅1700mm未満の5ナンバーサイズがオススメ。全長は長過ぎるとこれまた大変なので、4m程度がいいでしょう。理想は3.6~3.8mのコンパクトカーですが、4.0mくらいまでなら許容範囲。

4.3mくらいからちょっと面倒になってきて、4.5mともなると立派なサイズです。

排気量は1300~1600ccクラス

5ナンバー、4mクラスであれば車両重量も1000kg前後が多いので、排気量は1300~1600ccクラスとなることでしょう。1500ccまでなら少し自動車税も安くなりますので狙い目。1600ccクラスは1800/2000ccクラスと同じです。

具体的な車種(日本車)

昔のホットハッチがこれに相当するんですけど、ほぼ絶滅しましたからね。新車でMTが選べるコンパクトというと、このあたり。

・トヨタ・ヴィッツRS 5MT⇒ トヨタ ヴィッツ | 価格・グレード | RS | トヨタ自動車WEBサイト

・ホンダ・フィットRS 6MT⇒ ラインアップ | タイプ・価格 | フィット | Honda

・マツダ・デミオ13S 5MT⇒ 【MAZDA】13S|グレード&価格|デミオ

具体的な車種(軽自動車)

・ダイハツ・コペン 5MT⇒ COPEN|Brand&Fan Community

カワイイイメージとは真逆の硬派なハンドリングで、運転よし、オープンにしてドライブするもよし、維持費は軽自動車だから安いと3拍子揃ってオススメです。ボディ剛性も十分以上。オプションでちゃんとトルセンLSD(後述)が用意してあるのもGOOD。

具体的な車種(輸入車)

外車でも本国はMTがあっても日本国内にはATしか入れないところが多数あり、なかなか選ぶのは大変。

・BMW MINI⇒ MINI Japan - Home

・シトロエンDS http://ds3.citroen.jp/

・アバルト ⇒ ABARTH(アバルト)オフィシャルホームページ

具体的な車種(中古車)

マニュアル車となると逆に中古車の方が選択肢があります。憧れの90年代スポーツカーも中古なら手の届きやすい値段、とはいえ最近は高値安定ですが。

中古で買う場合に気をつけたいのは、シフトとクラッチ。どちらも交換すると高くつくものなので、少しでも不具合、ひっかかりがあるものはやめておいた方が無難。

またLSDが装着されているものがあれば、そちらを選んだほうがいいです(後述)。

入れておきたいLSD

運転を上達するのとは少し違いますが、スポーツドライブを楽しみたいならLSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル、差動制限装置)は必須。

・機械式LSD

・トルセン(トルク・センシング)LSD

・ビスカス(ビスカス・カップリング)LSD

とありますが、一昔前はビスカスか機械式、最近はトルセンが主流ですが、さらに電子制御(疑似)LSDというものもあり、空転しそうになると内側のタイヤにブレーキをかけるものも出てきています。

FF/FRのいずれにしてもロールが深くなりインリフト気味になるとリフトした側のタイヤにトルクがいってしまい、トラクションが失われることになります。それを防ぐのがLSDの役割。

機械式はバキバキといった作動音と急激なトルク変化、FFではキックバックが大きくトルクステアが問題となりますし、FRでも特性を理解しないとリアが突然滑りだすといった、初心者には不向きなものでもあります。

それでもないと、キュルキュルキュルと空転するだけで前に進まないという、なんともしょっぱいことになるので、是非入れておきたいアイテムです。

あると運転が楽しくなるアイテム:サスペンション

新車でも中古車でも、気にしたいのがサスペンション。日本車は特にですが、安定志向にふられていてハンドリングはアンダーステア。切っても曲がらないようになっています、全般的に。

ドイツ車もものによってはそうで、200km/hでの直進安定性を求めるあまり、リアが堅くて実は雨の首都高速やヤビツ峠といったタイトな峠道では曲がりません。

これを解決するのがショックアブソーバー。いわゆるシャコチョー(車高調整式サスペンション)なんですが、やみくもにローダウンするとホイールトラベル、ストロークがなくなってしまいより曲がらない方向に。乗り心地も悪化するのでオススメしません。

車高調整はあくまでも付加価値であって、本質はコイルとダンパー。まずはダンパーセッティングを見直して、常用のスピードレンジ内で意図通りに曲がるようなものにするのがいいでしょう。

昔はKYBのクライムギアやニューSRスペシャルというのがコスパよかったんですけど、最近はどうでしょう。

⇒ KYB CLUB CLIMB GEAR

⇒ KYB CLUB NEW SR SPECIAL

私なら一気にオーリンズまで行っちゃいますけどね、なぜなら一番乗り心地と操安性の両立がしやすいから。高いですけど、その価値はあると思います。

⇒ オーリンズショックアブソーバー 総合ホーム|ラボ・カロッツェリア [ÖHLINS Advanced Suspension Technology]

安全に止まるために:ブレーキパッド

ノーマルのブレーキパッドはさすがはノーマル、特に日本車のノーマルはほんとヘボイ。効かないし、フェードするし、命を預けられません。ローターも減らないし、ローター攻撃性も少ないしでそりゃあ物理的に止まるはずがありません。この点、ドイツ車は素晴らしい、効くし止まるし。ただローター攻撃性はすごくってパッドと同じだけローターも削れて要交換部品。

日本車なら多少鳴く、ローター攻撃性のあるパッドにすることで安全を買うことができます。

やっぱりタイヤが一番大事

車はなにはなくともタイヤです。結局すべての走る曲がる止まるはタイヤで行われるわけで、いくらいいブレーキ、ショック、エンジンがあったとしてもタイヤがプアではどうにもなりません。アジアンタイヤ? もっての他。

ちゃんとしたブランドの、日本メーカーかヨーロッパメーカーのものをはきましょう。ゴムは経年劣化するものなので、新品を投入するのがいいです。安売り屋だと古い在庫品とかになるので、これも気をつけないと。

鬼グリップのではなく、多少マイルドなコントロール性の高いタイヤを選ぶ方が値段もリーズナブルで練習になります。

ドライビングポジションを決める

どのドライビング本でも必ず書いてあるのがポジション。ノーマルシートでもいいので、ちゃんとシート位置、角度、ハンドル位置、角度を決めて、ハンドルとペダルを操作できるようにするのが肝要です。

横Gがつらくなるほどタイヤの限界を使えるようになったら、バケットシートを入れるのもいいでしょう。腰痛に悩んでいる人にもお勧めできます、バケットシート。

靴はドライビングシューズを

以外と忘れがちなのが、シューズ。ペダルの微妙な感覚を得るには、サンダルや靴底が厚くクッション性のあるものは不向き。理想は薄っぺらく、硬いゴムで、歩くとすぐに疲れちゃうようなものが最適。

世の中ドライビングシューズは探せば結構でてくるので、1足もって車に積んでおくと便利。

歩くときはオシャレな靴、運転の時だけドライビングシューズと使い分けることができます。

【Amazon】 [プーマ] PUMA SPEED CAT SD(スピードキャットSD) 301953 05
B00GHGRZ36

これまでのクルマ

自分MT車遍歴をご紹介。

⇒ My Car History 1996-2000

・KP61スターレットS 5MT
1300cc 60馬力位。1気筒死んでいて加速は軽自動車にも負ける、LSDなしなので空転多数、ドリフトはできない。ヒール&トーの練習を1年繰り返す。

・S13シルビアQ's 5MT
1800cc 135馬力。ビスカスLSDなのでほとんど効いてない。ジムカーナショック、ブレーキパッドを入れてから見違えるほど運転が楽しくなったが、速くない。

・GA2 シティ CZ-i/CR-i 5MT
1300cc 100馬力。OHCなのにシュンシュン回るエンジンと760kgの超軽量ボディのおかげでFR万歳とか、そういう話ではないことを体感。CZ-iは快適仕様だったが、CR-iからはエアコンレスで競技一筋へ。速いし、安いし、最高。

・EF8 CR-X SiR 5MT
1600cc 160馬力。DOHC VTECでのびやかに回るエンジンと軽量・コンパクトな車体で峠を吹っ飛んでいきます。でもこちらは快適仕様、当時珍しいカーナビまで装備。

・EK9 シビック Type-R 5MT
1600cc 185馬力。CR-Xと同じB16型をさらに高回転型にして185馬力を発揮。ホイールベースが長くてジムカーナには不向きだけどクルマとしてのバランスは最高。

・AP1 S2000 6MT
2000cc 250馬力(実際には220~230馬力位)。久々のFR、回るエンジン、ピーキーなサスペンションで危険とされるけど、早々にオーリンズショックに変更したので大丈夫。雨の高速には注意。

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S2000は昔のジムカーナA仕様(今でいうところのN仕様)で、サスペンション、ブレーキパッド、LSD、バケットシート、ハンドル交換のみ。軽量化はなし。サーキット走行の場合はSタイヤに軽量ホイール。以上で十分です。

色々乗ってきて分かったのは、クルマは軽くて小さい方が維持費が安くて済むので経済的負担が楽でいいです。上記でいえば、一番コスパ(笑)がよかったのは、GA2シティ。パワーウェイトレシオ 7.6kg/馬力で加速も良好、軽量ボディでコーナリングスピードは異次元。

ただ問題がないわけではありません。エンジンパワーがないので、基本アクセルはON/OFFのみ。ゼロイチです。踏め踏めいけいけどんどん。コーナーはツッコミ重視、ノーブレーキでパンとハンドルきって入っていく感じで、まあ速いけど、アクセルやハンドルの微妙なコントロールを学ぶというのとは違うもの。一回この癖をつけるとパワー、重量のあるクルマに乗り換えるとブレーキは行き過ぎるし、コーナーははらむし、アクセルはラフだしと、矯正が必要です。

なので多少パワーと重量があった方が、丁寧な運転が学べると思います。目安は 150馬力、1000kgくらいでしょうか。そうなると CR-X, EK9シビックや、現在でいえば多少重いけどMINIあたり。

お金のかけるところ

とにかくガソリン代、距離を走ることが大事。そしてコースは下道、峠道。速く走る必要はないので、加速減速の少ないスムースな運転を心がけること。これでハンドルとアクセル、ブレーキの連携操作、さらにシフトチェンジ、ヒール&トーが「無意識で」できるようになること。

クローズドコース、ミニサーキットやジムカーナ場での練習もリスクが少なく練習できます。ある程度うまくなったと思ってコースにいっても、大抵の人はメタメタなので、それはそんなもんです。スキーだってそうでしょう。

とにかく経験値を稼ぐこと。それには走りこみしかありません。あとは師匠に師事することも上達への早道、定期的にドライビングレッスンに通うのもいいでしょう。頑張って下さい。