ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第9話 闇の組織 #mini4wd

前回までのあらすじ

流しのミニヨン・レーサー北川は賭けレースに使われていたマシンが学生マシンの発展形であることを知る。そしてサラにミニヨン・レーサーの情報を渡し、引き換えにあるモノを貰う約束をする。

新宿三丁目、賭けレースをしていたスーパーノヴァが警察のガサ入れを受けたのを影で見ていた男たちがいた。

幹部A「スーパーノヴァがやられたか」

幹部B「ククク、スーパーノヴァは我ら関東4店舗の中で最弱」

幹部C「ガサ入れされるとは、我らの面汚しよ...」

幹部A「そうはいってもこれは皇帝にご報告せねばなるまい」

幹部B「皇帝の理想は高い。理想を実現するためにはどんな障害をも越えねばならん」

幹部C「そうだ、警察など所詮法律の中でしか動けない、木っ端役人どもの集まりだ」

幹部A「我々はじきに警察が手を出せない、不可侵領域に到達するのだ」

幹部B「その計画は着々と進んでいる。今日のことなど些細なことだ」

幹部C「ああ。我々の理想実現のため、皇帝の計画の成功のために前祝いにいくぞ。」

男たちは闇夜に紛れ、消えていった。

・・・

浜田「兄貴ぃ、ひどいっすよぉ~」

学生「出られてよかったですね」

一晩拘置された浜田は無事、北川らに引き取られた。

学生「サラさんが手をまわしてくれなかったら、そのまま刑務所行きでしたって」

浜田「もともとは兄貴がやるレースだったのに、なんでオレがこんな目に会わなきゃいけないんですかい」

北川「...もともと賭けレースをやっていただろう、遅かれ早かれこういうことになる」

浜田「そりゃそうっすけど...」

北川「いいか。賭けレースなんてものはろくな人間がやるもんじゃない。射幸心は人の心を狂わせる。目的のためには手段を選ばず、金をつぎこみ続け、そして人の命すらをもないがしろにする最低な人間になるんだ。いやもはや人とはいえない、歯車だ。賭博という大きなシステムを動かすギヤ(歯車)になるんだよ。ギヤに意思なんかない。ただ賭博システムを動作させるひとつの部品であり、それは誰かに操られている。」

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北川「その賭博システムにミニ四駆を使おうだなんて、オレは許せない。ミニ四駆はもっと純粋なものなんだ。一つ一つのパーツに魂がこもり、それが調和した瞬間、きらめくような走りをみせる。マシンはまるで生き物のように身をよじり、前へ進む。人と機械が一体化したその走りは光を発し、まばゆいんだ。しかしその光は、最高の瞬間は長くは続かない。一晩の夢だ。しかしその夢を見るためにオレはまたマシンを作る、理想の走りのために...」

北川が珍しく饒舌に喋ったので、浜田と学生は唖然としてる。

(チリリリーン、チリリリーン)

北川の携帯が鳴った。サラからだ。

サラ「北川さん? 例のモノが手に入ったわ。分かっている、絶対にバレないでね」

北川「ああ、大丈夫だ、心配するな」

サラ「それと新しい情報よ。スーパーノヴァの店員によると、次のビッグレースは木更津であるそうよ。」

北川「木更津...大月模型か」

サラ「そういうこと。じゃあヨロシクね!(ブツッ、ツーツーツー)」

木更津の大月模型。そこには何があるというのか。そして例のモノとは。

(つづく)

(ミニ四駆小説は2日に1回の更新予定です)

この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。

賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。

ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。

[参考リンク⇒「××がやられたようだ」「奴は四天王の中で最弱...」の元ネタ、意味、使い方 | nanapi [ナナピ]