ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第8話 マシンの系譜 #mini4wd

前回までのあらすじ

流しのミニヨン・レーサー北川は高額な賭けレースを浜田にやらせる。ところがそこに警察官が踏み込んできて、浜田は逮捕されてしまった。

捜査官「詳しくは署で聞くからな、いくぞ」

浜田「兄貴イ、なんでオレなんだよ、アニキィ〜」

無言の北川の横を、手錠をされた浜田が連行されていった。

サラ「相変わらず冷たいのね、北川さん」

さっき会ったサラがそばに立っていた。サラもまた、警視庁組織犯罪対策4課の捜査員だったのだ。

北川「...あとで君が来ると分かっていたからな」

サラ「フフフ、そうね。今日はどんなご用事なのかしら」

北川はサラに学生を紹介し、学生のマシンをサラに見せる。

サラ「このマシンは、最近賭けレースで勝ち続けるマシンのセッティングによく似ているわね。原型かしら。」

学生「どういうことですか?」

サラ「賭けレースに出る人全員がミニ四駆を作っているわけじゃない。勝てるマシンをお金で買って出ている人がほとんど、その人たちに勝てるミニ四駆を提供しているレーサーがいるのよ。レーサーはそれぞれ特徴があって、マシンをみればだいたいの筋が分かるのよ。」

客から押収したマシンを机の上に載せるサラ。

サラ「このマシンをみて。このマシンは明らかにあなたのマシンの発展形ね。ということはこのマシンを作ったのは...」

学生「ぼくのパパ!」

サラ「どうやらそうみたいね。あのお客が色々と喋ってくれるといいんだけど」

学生はぱっと明るい表情になったが、一方で眉間にしわを寄せる北川。

北川「...サラ、これを」

高尾店主からもらったUSBメモリをサラに渡す北川。

北川「このデータはミニ四駆レースの全記録が収まっている。賭けレースにミニ四駆を提供しているミニヨン・レーサーもこの中にいるはずだ。」

サラ「あら、そんないいものプレゼントして下さるなんて、あなたにしては随分と気が利いているわね。引き換えに何が欲しいのかしら、フフフ」

北川「...幻のアレだ。警察の押収品にあるだろう。」

サラ「困った人ね。そんなもの持ち出したら、私のクビが飛んでしまうわ」

北川「それはバレたらの話だろう。大丈夫だ、絶対にバレない」

サラ「...それにだまされて、何度始末書を書いたことか...仕方ないわ。その条件飲むわよ、データありがとね。」

幻のアレとは何か、北川は何をしようというのか。そして浜田の運命は。

浜田「兄貴〜〜〜」

独房で一人叫ぶ浜田。

(づつく)

(ミニ四駆小説は2日に1回の更新予定です)

この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。

賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。

ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。

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幻のアレは色々あります。