ちょっと気になった発言です。
【トヨタ オーリス 新型発表】藤田チーフエンジニア「欧州車を凌駕する走りに」 | レスポンス (ニューモデル、新型車のニュース)1.5リットルと1.8リットルエンジンのオーリスは、欧州で年200万台規模という大市場のCセグメントハッチバック。初代も全体の約7割を欧州で販売しており、激戦区で大健闘してきた。藤田氏は新型車について、外国メーカー車ではVWの『ゴルフ』やフォードモーターの『フォーカス』など、日本車ではマツダの『アクセラ』と富士重工業(スバル)の『インプレッサ』をベンチマークしてきたという。
トヨタに限らず、ホンダや日産もそうだと思うのですが、必ず「ベンチマーク」という言葉が出てきます。いわゆるライバル車、または目標とする車をもってきてその車と比較、参考にすることでいい車を作ろうという手法です。
これ自体は技術力や性能に大きな差があった時代、たとえば20世紀はとても有効だったと思うのですが、日本車が販売台数で肩を並べ、トップを狙おうかという21世紀ではどうなんでしょう。本来であれば逆に目標とされなければならない立場になるのに、目標を見失い未だ横をみてきょろきょろしているという状態です。
結局「売れる車を真似して作る」以上のことができてない証左です。
この論法でいくと売れる商品であればなんでもよく、車が売れない時代となっては他に売れる商品を作ればいいとなりかねません。もしかしたら10年後スマホを作っているかもしれませんね!?
さすがにスマホは行きすぎですが、軸がないというか、ブレているというか。
スポーツカーが売れるときけば、ツインカムといい、ミニバンが売れるときけば、3列シートにする。右に左に蛇行運転、元々その車種(ブランド)のファンすらもついていけず、挙句に車種(ブランド)廃止をして新しい車種をボコボコだしてっちゃう。これでは文化を創造することはできません。
軸となる中心がしっかりしていないからこうなっちゃうんですね。この車種はコレ、という核があってしかるべきでしょう。
その両極端にあるのがポルシェ911。なにせリアエンジン・リア駆動(RR)で比較対象するライバル車は存在せず、常に自分との戦いです。連綿と続く歴史の中でファンが醸成され、しかも辛口。最新のポルシェが最良のポルシェといわれるべく、常に邁進している姿が見えます。その結果レイアウト的に「正しくない」と言われるRRにも関わらず、素晴らしい走りとテイストを提供し、ファンを魅了するのです。
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日本車でそれが今あるといえば、(4WDの)GT-Rくらいでしょうか。GT-Rも他車をベンチマークはしていると思いますが、スカイラインをベースとしながらツインターボ+高性能4WDで効率よくタイムを稼ぐという手法はひとつの軸として確立しています。性能面では排気量、価格がワンランク上の車種をバッタバッタと斬ってますからね、これはアリでしょう。
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問題があるとすれば、余りに機械化されすぎて、まさに教育型コンピュータ搭載のガンダム(モビルスーツ)的ということ。つまり運転技量に関係なく、たとえそのへんの高校生がのっても性能が出せてしまうというよしあしさがあるということです。シャアのような百戦錬磨のドライバーからすれば
「ええい、日産のGT-Rは化け物か!」
「クルマの性能の差が、タイムの決定的な差ではないことを教えてやる!」
という気持ちになるのも自然です。
トップを狙うのであれば世界から参考にされるクルマになるべく、それぞれ軸をもつべきと思いますよ。それが結果ファンが育ち、文化となり、次世代に引き継がれていくのです。父の時代、私の時代、カローラは憧れのクルマでした。
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日本は昔から技術を磨くことに腐心し、創造力に欠けていました。だから目標が常に必要。自分が目標にされなければいけないのに。
そうした中ルマンのトヨタTS-03ハイブリッドレーシングマシンは、アウディのそれに負けたといえ先鞭を付けたことは評価されるべき。
バッテリー能力にまだ不足がある電気自動車普及には、なお時間がかかるるでしょう。電池交換、電池スタンドの発想が進展すればおもしろいと思います。
ベンチマーク・・・未だに真似っこの精神構造では先が見えています。